第12章 Reunion
「7005番、時間だ」
俺の背後で扉が開き、刑務官が顔を覗かせた。
「じゃあな、侑李。元気でな?」
パイプ椅子から腰を上げ、背中を向ける俺に、侑李が縋るように手を伸ばす。
でもその手に、俺は触れることすら許されない。
俺達の間には、透明の壁が立ちはだかっているから。
「兄ちゃん…、智兄ちゃ…」
手錠をかけられる俺の背後で、侑李の啜り泣く声が聞こえた。
ごめんな、侑李…
俺は侑李に視線を向けることなく、面会室を後にした。
廊下に出ると、既に面会を終えたのか、松本が退屈そうに立っていた。
「行くぞ」
来た時と同じ道を歩きながら、隣を歩く松本の様子を伺った。
長瀬さんの面会相手がもしコイツだとしたら…?
「いや、でもまさか…」
でもそれを確かめる術は、今の俺にはない。
尤も…松本の性格だ。
問い詰めた所で、素直に吐くとは到底思えない。
「…はぁ…」
余計なとばっちりを受けても適わない。
「お前さっきから何ブツブツ言ってんだよ。気色悪ぃなぁ…」
やはり怪訝そうに俺を見る松本に俺は、
「いや、何でもない…」
と返すと、視線を前に向けた。