第12章 Reunion
「うそ、だろ…? だってアレは…」
「嘘じゃないよ? 傷だらけだったけど、あの人とっても愛おしそうにしてた」
翔…
まだお前は俺のことを…?
俺の頬を熱い物が伝った。
「櫻井さん言ってたよ? 兄ちゃんのことは絶対に守る、闘う、って…」
翔が俺のために?
だめだ…
そんなことしたら翔が…
「兄ちゃん? どうしたの?」
「…い、いや、なんでもない…」
俺は頬を濡らす涙を袖で拭った。
「それより、長瀬さんは? 一緒じゃないのか?」
侑李のことでは長瀬さんに世話になったことだし、礼の一つでもしておくのが筋ってもんだ。
「長瀬さんなら、ここに知り合いがいるらしくて、面会に行ってると思うけど?」
長瀬さんが面会に…?
「誰に? 名前は聞いてるか?」
詰め寄る俺に、侑李は少しだけ戸惑いがちに首を横に振る。
「そっか…、そうだよな?」
肩を落とし、パイプ椅子の背もたれに背中を預けた俺に、侑李が申し訳なさそうに瞼を伏せた。
「翔は…、櫻井さんは他には何も?」
俺の問いかけに、侑李が俯いたまま頷いた。
「もしもまた櫻井さんが訪ねてくることがあったら、俺のことは岡田に任せて、手を引くように伝えてくれないか?」
翔にはこれ以上関わって欲しくない。