第11章 State
俺の身体に着いた砂を手で払うと、マサキは自分の腰に下げていたタオルで俺の下半身を拭いてくれた。
「…痛っ…!」
後ろの部分に引き攣れたような痛みが走る。
「あっ、ごめん…。痛かったよね?」
マサキが鼻をズッと啜って、手にしたタオルをギュッと握り締める。
白かった筈のタオルは、俺の血で所々赤く染まっていた。
アイツ、滅茶苦茶やりやがって…
「許せない…」
マサキが苦々しい顔でタオルを地面に叩き付ける。
「マサ…キ…?」
「アイツ…サトシにこんな酷いこと…。許さない、絶対に許さない…」
「俺は大丈夫だから、落ち着け、な?」
ガタガタと震え出すマサキをなんとか落ち着かせようと、怒りに震わせる拳を、俺は両手で包み込んだ。
でもその手はあっさりと振り払われてしまう。
「”大丈夫”? 何が大丈夫なの? こんなことされてさ、よく平気でそんなこと言えるね?」
初めて聞く、マサキの低く冷たい声に、俺の背中を冷たいものが流れる。
「仮にさ、智がアイツのこと許したとしても、オレは許せねぇよ…」
「俺だって…」
アイツらの欲望を満たすためだけに、こんな仕打ちを受けて平気なわけじゃない。
寧ろ…
「…殺してやりたいよ…」