第3章 自分らしく
『愛してる…雫』
『……こんな風に言って欲しかったのか?』
『【普通の人間】として、接して欲しかったのか?』
…そう。
そうよ…、本当に…あんたが言ってる様に…
して欲しかったの……
ただ…
ただ、愛されたかった…
一人だけでも良かったから…
良かったの…一人が優しく接してくれるだけで……
こんなにも小さな夢よ…?
要望なのよ……?
なのに
どうして
私だけが叶わないの
…あんたが言う、【普通】じゃ無いから…?
「とんだ理不尽だね…」
『仕方が無い』
……それで片付けられる私の気持ちなんて
誰にも解らないだろう。
人間じゃ無いみたいだー……
…元々かも知れないけど。
「……な…」
声も
手も
脚も
何もかもが震える。
視界がボヤけて
私の瞳に映る
全てのモノが
歪んでいく。
「そう…な……のかな……」
『…泣いている、のか?』
驚いた様に瞳を見開かせ、顔を覗き込まれる。
「……もう…止めた」
「面倒になっちゃったよ…」
「何もかも、全ての事に嫌気が差した」
歪んで見えるのは、あんたなのか…
それとも…景色なのか……
ギリリ…
気付けよ…
私……
歪んでるのは私だと。
存在を忘れられているのは私だと。