第3章 自分らしく
「ツナと同じ事言ってるじゃねーか」
お、…同じ事……!?
「10代目さんはマフィアのボスなのに、ですか!?」
驚いて声が裏返る。
何て可笑しな人だろうか。
ボスと言う立場にも関わらず、マフィアが嫌いだなんて。
「だって…人を傷付けるだけじゃ…何にも意味無いだろ…?」
「だったら…そんなマフィアを嫌いに成っても可笑しくは無いよ…ね……?」
何故か問い掛けに成っているが……
10代目さんの言う通りだ…
人を傷付けるだけでは何も変わらない。
余計に深刻に成っていく、ただそれだけ。
ドク…ン……
「……え……」
声が漏れる。
何で…こんなタイミングにー……
ポタタ…
紅色の血が床に滴る。
ヤバい…、駄目…、嫌……
二人は驚いて私の元に寄って来るが、その時には意識が遠退いてしまって……
私の手が宙を掴む。
「あ゛……、止めー……」
プツ……ン…
視界が真っ暗闇に変化した。
『何…処……?』
夢の中…だろうか…?
廃虚みたいな錆びた建物だ。
『誰か…、誰か居ないのですか……?』
一人は嫌…
寂しいのは嫌い…
置いてかないで………
ねぇ…
そんなにも…私は醜いの……?
愛して貰う…事が出来ない…の……?
『恐いよッ…、恐いよぉお……ッ…』