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余命一年の迷愛(リボーン)

第3章 自分らしく


「どうしたんですか…?」

ほんの微かな声が聞こえてくる。

今の様に、風や水の音だけしか無いと聞こえないだろう。

何時の間にか川の近くで座り込んで居た私を心配してくれたのだろうか。

「いえ…、有り難う御座います…」

立ち去ろうとすると、優しく手を握られる。

冷たく無い手…

「あの…体調が悪そうですし…、えっ…と……」

一瞬の躊躇いを見せるが、ヘニャリとした偽りの無い笑顔を浮かべて口を開く。

「俺の家に来ませんか?」

「女の子が一人で夜遅くまで居たら危ないし…」

何て御人好しな方なんだろう…

私に関わったら最後ー……

どうなるか解って無いのね、骸さん達も。





言われるがままに腕を引かれて行く。

人が沢山…居るなぁ…

久しぶりに…見れた光景……

笑顔が飛び交っていて……

何の濁りも無い……

幸せそうな普通の人達……

良いな…、良いな……

私の中で濁っている【何か】が心を埋め尽くす。

普通の人に産まれたかった…

あんな風に愛されて…

あんな風に笑顔を浮かべれて…

あんな風に…人に優しく出来てー……





「羨ましい……」

ポツリと呟く。

恐らく、この少年には聞こえていないだろう。

目的地に到着したのか少年は立ち止まった。
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