第3章 自分らしく
あっ…
「待って下さい…!」
腕にしがみついて犬さんの動きを止める。
驚いた顔をし、動きが止まった。
期限悪そうに顔を覗き込まれる。
「何ら?」
こ、声のトーンが低い…
少し怯えつつも、そっと先程までは無かった傷に触れる。
「ッ……」
「動かないで下さいね…」
ブレスレットに口付けを落とし、淡く輝き出した。
その炎は死ぬ気の炎とは…また違った特殊な炎らしい。
犬さんの傷にブレスレットを近づけ、一瞬輝きが一層強くなり、また弱まっていった。
「…ん、もう大丈夫ですよ」
「れ…? 傷が…」
不思議そうにブレスレットを見詰める。
「コレ…何なんら?」
興味を示したのか、私のブレスレットを指差した。
「これは私の特殊能力の負担を減らす為の物です…」
「解りやすく言うと…【武器】に成りますかね」
「ふ~ん……」
「犬、触るのは止めておきなさい」
ブレスレットに触れかけた犬さんの手がピタリと止まる。
「お前には耐えられない」
重い沈黙。
……耐えられない…か…ぁ…
骸さんは気遣って言ってくれた…けど…
気不味い…なぁ……
……ー私の為だけに造られたブレスレット。
特殊能力を使用するのは常人では耐え兼ねない負担が掛かる為、ブレスレットが開発された。