第3章 自分らしく
「【柿本 千種】だ…」
眼鏡を中指で上げ、鋭い目付きで睨まれる。
…やっぱり…始めからは仲良くなれない…よね……
胸が少し痛む。
そんな…見知らぬ人と仲良くなれって方が……難しいし…
頑張ったら…大丈夫だよ。
自分自信に言い聞かせて、もう一人の男の子の方に目を向ける。
「んぁ!?」
「こっち見んな!!」
「…犬…、早くしなさい……」
「あと、雫を怖がらせないで下さいね…」
骸さんから異様な気が犬と呼ばれた男の子に向けられる。
「うっ…、解りましたよ~…」
渋々と私の方に向き直り、ジトリと見られる。
「俺は【城島 犬】っつーんら」
「お前を仲間って認識してないからな!」
バシィッ
犬さんの背中に骸さんが平手打ちを咬ます。
鈍い音が響き、犬さんが悲鳴を上げた。
「痛いれすよ!」
「骸さん!」
「今のは犬が悪いです」
そんな会話が目の前で繰り広げられている中、女の子がモジモジと隅で私を見ている事に気がついた。
わぁ……
凄い…可愛い子……
「クローム、自己紹介しましょうか」
「はっ、はい!」
頬を紅潮させて私に一礼する。
「【クローム髑髏】です」
「よ、宜しくね」
ヘニャリと微笑まれ、心が少し和む。
私も微笑み返すと恥ずかしそうにまた隅へと戻った。