第10章 夏と、ラムネと、やっぱりわんこ。 R18
「美優、帰って着て早々悪ぃけどさ…できるか?」
リエーフが用意してくれた麦茶をちびちび飲んでいると、クロに声をかけられる。
その手には浴衣。
「あ!美優さーん!俺も!」
冷蔵庫に麦茶を片しに行き、帰ってきたリエーフ。
クロの手にある浴衣を見て、自分も着せて欲しいと主張しながら浴衣を取りに部屋へと走り込んでいく。
『リエーフ走らなくていいよ!先にクロ着せちゃうから。』
そうリエーフに言うと私はクロにOKサインを出した。
浴衣を着せる準備をしながらちらりとみんなを流し見る。
夏祭りだからか1年生2人とやっくんは甚平。
犬岡くんとけんまは私服だ。
あと、もう1人…
「美優さん、あの…」
ソファに座っていた莉奈ちゃんがそわそわしながら私に声をかける。
そんな莉奈ちゃんが可愛くてくすりと笑うとわたしは莉奈ちゃんに耳打ちをした。
『わたしの部屋に準備してる。だから先にシャワー浴びておいで?そのあと着替えようか。』
そうわたしが言うと莉奈ちゃんは返事をしてリビングから出て行った。
「莉奈も浴衣着るのか?」
莉奈ちゃんの後ろ姿を見送っていれば、にやり、笑いながら言うクロ。
そうだと答えればクロがわたしにこそりと問う。
「女物ってどうやって着せんの?」
クロが”それ”を問う意味がわからず首を傾げれば、クロはくすりと笑う。
「脱がすことはできるんだけどさ…?」
ぺろりと下唇を舐めながらにやにやするクロ。
やっと意味がわかったわたしの顔は真っ赤。
「クロ…美優で遊ばない…」
「んなこと言ったって普通に意味くらいわかるだろ、研磨。リエーフとさんざんヤりまく『クロのばかぁぁぁあぁあ!』
べちぃぃぃいん!
部屋には平手打ちのいい音が響き渡った…