第9章 1人じゃない。
『まだ朝まで時間あるから…』
そう呟くと、ベッドのふちに腰掛けていた体がふわり浮いて、ベッドに転がった。
そしてすぐに頭の下にリエーフの左腕が通ったかと思いきや、私の体に右手を添えぎゅーっとリエーフの方へと引き寄せられた。
厚い胸板に頬を寄せるようにして抱きしめられる体。
「みゆさん…どこにもいかないで…」
呟かれた言葉。
それは私が言いたかった言葉。
1人は平気って思ってた。
でもリエーフと出会ってからずっと忘れていた”寂しい”を思い出した。
『行かないよ、どこにも。』
だからリエーフ、あなたもどこにも行かないで。
あなたの帰る場所は私であって欲しいの。
大好きよ、リエーフ。
私は同じ香りのするTシャツに顔を埋めると、そっと瞳を閉じた。
end