第9章 1人じゃない。
苦しくて、苦しくて、はっと目が覚めた。
覚えているのは何かに追われているような夢。
必死に逃げているのに追ってくる何かは軽々と私に追いつこうとする。
もつれそうになる足を必至で動かし、走った。
走って走って、必死に前へ進んで、
あ、転ぶ
そんな時に目が覚めた。
夢の中だったはずなのに切れた息。
怖くて、隣にいるはずの彼を見る。
彼…リエーフは、私の隣ですやすやと寝息を立て眠っていた。
規則正しい寝息。
なぜかほっとして胸をなでおろす。
変な夢を見たからかカラカラになった喉。
何か飲もう。
そう考え、私はベッドから抜け出した。