第7章 灰羽リエーフの1日。
PM08:38
「美優さん?みーゆさーん?」
風呂から出てリビングに向かったけれど…
美優さんいない。
呼んだら「リビングで待っててー!」って声が聞こえてきた。
何?何?
何してるの?
気になるけれど…我慢我慢。
少し待つと美優さんがぱたぱたと移動する音が聞こえる。
お皿のカチャカチャという音が聞こえたかと思ったら美優さんの声。
『リエーフおめでとう!今年もケーキ作ったよー!』
机に出されたのは細長のケーキ。
『今年はね、紅茶のケーキなの。』
そう言う美優さんは嬉しそう。
きっとうまくできたんだろうなぁ。
『食べよ?』
持ってきた包丁で切り分けられたケーキ。
さりげなく俺の方が大きい。
いただきますと手を合わせ、一口食べれば口に広がる紅茶の香り。
「んまー!」
『これも、どうぞ?』
グラスに入った飲み物。
コーヒー?っぽいけど….
美優さんに視線を向ければにこりと笑う。
『お酒解禁でしょう?明日もバイトないし授業も午後ちょっとなら、1杯くらいどう?』
これ、酒?
『カルーアミルクっていうの。
1番アルコール度数軽いんじゃないかな?』
「じゃあ一口。」
好奇心でグラスに手をかけ、こくり、一口。
味はコーヒー牛乳みたい…かな?
『どう?』
「んまいっす。」
ケーキを食べながら、飲めばすぐにグラスは空になる。
酔った感覚もないからもう1杯とねだるが、1杯だけとストップをかけられた。
まあ、これから美優さんといつでも飲めるんだからいっか?
ケーキも初めてのお酒もんまかったー。
「美優さん、ありがとう。」
俺がお礼を言うと美優さんはにこりと笑った。