第31章 灰羽リエーフの数日 2023
目的の駅で降りれば、水曜日だからやや人は少なめ。
それでも自粛は解除されたからか、以前に比べれば人は増えたたように感じる。
「リエーフ、朝ごはんどうする?」
そう、俺のジャケットの裾を引く美優さんが問いかけた。
夜は座って食べたいけれど、今の時間だから昼も兼ねて食べたい。
「じゃあ、食べ歩きでもしましょうか。美優さんのおすすめのお店見てみたいです。」
了解、とでも言うように、美優さんは俺の腕に絡みつく。
久々のデートで気持ちも弾んでいるのだろう。いつもはあまりしてくれない行為に俺の心も弾んだ。
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お団子に煎餅、いなり寿司。
ソーセージ片手に地ビール。
アイスクリームにワッフルに練り物。
少しずつつまみながら進んでいけば向かう先には有名神社。
自分たちのこれからのことについてをお願いした。
これから…
仕事も上手くなりたい
美優さんとこのままずっと一緒にいたい
この2つはずっと続いて欲しい。
そう、たくさん願った。
「リエーフは何をお願いしたの?」
長い階段を下りながら美優さんは俺に問いかける。
一度口に出そうとして噤む。
「…内緒、です。」
人差し指を唇に当てて笑った。