第30章 夏、避暑にて。
side灰羽
『ぅ、ぁっ…いえ、るぅ!』
苦しげな体制で頷きこちらに瞳を向けた美優さんは乾いた唇を赤い舌で一度湿らせる。
『わたし、の…とろとろのえっちなばしょが、ぁぅ、りえーふのおっきーの…ねもとまでのみこんでるぅ…』
「じゃあここは?」
美優さんの陰核を指で摘むと中がきゅうと締まる。こく、こく、と頷いた美優さんは蕩けた瞳でこちらを向く。
『あっ…そこぉ…きゅってするときもちくてぇ…りえーふのいっぱいきゅっきゅってぇ…』
「ここ好き?」
『んっ、すきっ、しゅきぃ…』
「じゃあこっちは?」
上から押しつぶすように子宮の入り口を先端で抉ると美優さんの喉がひゅ、となる。
苦しげに息を吐いた美優さんの瞳からはひとつぶ、涙が溢れた。
『しゅき…おくしゅきらの…』
意地悪く何度も質問すれば、ぐずぐずに顔を蕩かせながら美優さんは必死に俺の問いに呂律の回らなくなった口で答える。
ぽろ、ぽろ、と溢れはじめた涙に口付け吸い取れば、柔らかな唇が熱い吐息を吐く。
『りえ、りえ、ふ…ぅ』
「ん。なあに美優さん。」
不安定な体制でシーツを掴む手が俺に伸びる。
肩に手が届くように屈めば美優さんは小さく喘ぎながら首に手を回す。
あいしてる
くちびるから溢れた言葉。
唾液で艶やかに濡れたそこから、俺に向けられた言葉にひゅ、と喉が鳴る。
ああ、しあわせ
愛の言葉をどこにもやらないように口を塞ぐ。
言葉ひとつでまだ心をかき乱される。
こんなに好きでいていいのか、なんて愚問だ。
すきですきで、ずっとすき
貴女のことが、今までもこれからも、一生好き
言葉の代わりに動かす腰。
塞いだ唇からは吐息が交わる。
ふかく、ふかく混じり合い、息を詰めれば美優さんも甘く啼く。
「も、イくッ…」
ふかく奥を抉りながら小さく呻けば、美優さんの体が大きく震える。薄い膜越しに気持ちを吐き出せば、美優さんは喘ぎながらぴく、ぴく、と体を痙攣させる。
可愛くて、えっちで、大好きな美優さん。
達した余韻で虚に宙を舞う視線に目を細めると、形の良い耳にお返しの5文字を吹き込んだ。