第28章 いつまでも輝く君でいて〜if〜
『ただいま。』
夜の21時半仕事が終わり帰宅する。
玄関を開けても部屋は暗い。
『そっか。今日は遅くなるって言ってたな…』
椎名美優。職業、レストランの厨房担当。
そして、彼氏、灰羽リエーフ。職業、モデル。
玄関の鍵を閉めリビングに行くとテレビをつける。 20時に録画をしていたクイズ番組を再生すれば、今が旬のきょうだいモデルとしてリエーフが大きく映し出された。
いろんな媒体に出始めたきっかけはSNS。
元々メンズの雑誌で活躍していたリエーフ。そこそこの売れ筋だったけれど知名度はイマイチだった。しかし、レディース向けの雑誌の専属モデルをやっていたアリサさんが、何かの企画でリエーフと雑誌の表紙を飾ってからどんどん知名度が上がり、今やテレビに出演するまでになったのだ。
リエーフの活躍は嬉しい。
体型管理や食事制限、厳しいレッスン。
モデルになるためにたくさんたくさん努力をしてきていたのを隣で見てきたから。
でも、寂しい。
画面越しでしか会えない日が続くと、リエーフが遠くに行ってしまったんではないかと錯覚する。
暗い部屋、リエーフの声がするテレビの光にポツリと言葉が溢れる。
あいたい、と。