第25章 そうだ、旅行に行こう。〜2019.8/18〜8/19〜
お店に入り、日陰で少しだけ涼みながら私達は食事を選ぶ。
リエーフは冷やしカレーうどんのセットとチーズムースのケーキを、私はデザートのみを選ぶつもりだったけれどリエーフに怒られメキシカンライスとチキンのセットとロールケーキを注文した。
美味しいからと頑張って食べたけれど、暑さのせいでなかなか食が進まない。
半分のところで箸が止まった私に気づいたリエーフがすいっと私のお皿を持っていく。
そしてチキンを切るとぐいと私に差し出してくる。
「あと1口頑張りましょう?あとは俺が食べますから。」
差し出されたチキン。
一瞬戸惑ったけれど、口を開けぱくりとお肉を頬張った。
「じゃあ俺食いますね?デザート食える時食ってください。」
やっとたどり着いたデザート。
ぱくり、一口食べれば口の中に広がるクリームの味。
ほろ苦いコーヒークリームが疲れた体に染み渡る。
リエーフのケーキも一口もらい食べると、甘すぎないチーズクリームと甘酸っぱいベリーのジャムがうまくマッチしていて美味しい。
「美優さん。」
声をかけてきたリエーフを見ると、口をかぱりと開けている。
大きめに切り分けて口の中に入れてあげるとリエーフはにかりと笑う。
『リエーフの方のデザートは返すね?』
そう言ってデザートプレートを返そうとするけれど、リエーフは私の方にプレートを押し返す。
『…?リエーフ?』
「食べさせて?」
とん、とリエーフが長い指で唇を叩く
ぶわり、と少しだけ下がった体温が上がる。
こんな所で知り合いに会うわけがないとわかっているけれど、きょろきょろと周りを見渡してしまう。
注目なんてされるわけないけれど、それでも恥ずかしい。
私はリエーフのケーキを一口大に切るとリエーフに差し出す。
にまりと笑ったリエーフはフォークからケーキを奪っていく。
1回、2回、3回。
最後の一口を差し出すと、リエーフはフォークをつかむ私の腕を掴みケーキを食べたかと思えば手の甲にちうと口付ける。
「美優さんは本当に可愛いですね。」
手の甲に当たる唇が笑みの形にゆっくり変わっていくのが分かり思わず手を引くと、リエーフは小さく笑った。