第21章 灰羽リエーフの1日 2018
pm09:57
「ただいま!」
玄関の鍵を開け、まっすぐ伸びる廊下に挨拶。
暖かな室内、そして漂う出汁の香り。
ストールを外していれば奥からおかえりの声とスリッパのパタパタという音が聞こえてきた。
『リエーフお帰り、お疲れ様。』
「今日の夕飯…いい香りっすね。」
『うん、大根が安くなってたからおでんなの。』
美優さん特製おでん!!
出汁を吸い込んで美味しくなったおでんダネを思い浮かべ、口がおでんを食べる準備を始める。
「ちなみに今日は何入ってるんですか?」
『今日は大根、昆布、ちくわにちくわぶ…
あとはこんにゃくでしょ?あとは餅巾着…』
「餅巾着入ってるんですか⁈早く食べましょう!!」
ブーツを脱ぎながら急かすと、それを見た美優さんが苦笑する。
『じゃあ、上着脱いで、荷物置いてきて?手洗いうがいもちゃんとすること!』
「はーい。」
美優さん、母さんみたいみたいになってきたな…
まあ、本人に言ったら怒られるから黙っておこう…
上着がわりに着ていたパーカーを脱ぎ部屋へ向かうおうとする俺に背を向けキッチンに向かう美優さん。
ニットから見える白い肩にムラっときて後ろから抱きしめると、美優さんは困ったようにくすりと笑った。
『早く、ご飯食べよ?』
そう言いながら俺の方を振り向いた美優さん。
スキありありの唇を奪うと俺はにかりと笑った。