第19章 夏、18歳
手を伸ばしても空をつかむだけだった。
寝転がった屋上。
目を開けば突き抜けるような青さが広がっている。
「綺麗…」
そう呟いた声は吹いてきた生温い風に溶けていった。
夏休みも中盤、部活も宿題も飽き飽きして来た頃、私が目指したのは屋上。
誰もいないところを目指したはずが、寝転がってみればいろんな声が聞こえて来た。
グラウンドの掛け声。
バットにボールが当たる音。
様々な楽器のばらばらな練習音。
だるそうな生徒の声。
ざらり、とするアスファルトの感触がやけにリアルでため息をつきながら瞼を下ろした。