第18章 ある夕方、嫉妬の話。
目を覚ませば漆黒。
半端に脱がされた服が絡まり動きづらい。
隣を見ればすうすうと寝息を立てるリエーフ。
あまりにも心地好さそうに眠っているので、つい私はリエーフの高い鼻をつまんだ。
ふがっと変な声をだし、そのまま寝入るリエーフ。
…しょうがないなぁ。
くすり、と笑うと私はお風呂に入るためにリエーフの隣から抜け出した。
ーーーーーー
「美優さんひどい…」
体を洗い湯船に浸かっていれば目を覚ましたリエーフが脱衣所から顔をのぞかせた。
「起こしたけれど起きなかったのはリエーフだもん…」
ふいっと壁の方を向けば、ばさばさと服を放る音。
そしてがらがらと音が響き、リエーフがお風呂に入ってきた。
ささっと体を洗ったリエーフは遠慮なく湯船に入る。
ざばりとお湯が溢れて行くのを目で追っていると、目の前から伸びた手に引き寄せられた。
「美優さん、俺怒ってるんですからね?」
「…ごめん。」
油断した私が悪い。
だから素直に謝れば、リエーフはぷうとふくれる。
「それで何度目ですか。油断しすぎなんです。」
「ごめん…なさい…」
「って事で今度首輪買いに行きますよ。」
「ごめんなさい…って、え?」
謝って、何か聞き逃したような気がして顔を上げれば赤く染まるリエーフの頬。
「だから…美優さんは俺のだって印、買いに行きます。」
意味を理解して顔を赤く染めれば、リエーフも目を泳がせぽそり、と呟く。
「指輪…はあるし、他にもお揃いのアクセサリーはあるけど…」
照れたリエーフが目線をそらし、再び私を見る。
「でも、やっぱり俺のって印がほしいです。」
真剣なきらきらの瞳。
じっと見つめられるとNOなんて言えなくて、私はリエーフに抱きついた。
「じゃあ今度探しに行こう?」
そう声をかければリエーフの腕が背中に回り、私を強く抱きしめた。
印がなくても、私は貴方のもの、だよ。