第18章 ある夕方、嫉妬の話。
「逃がしませんよ。」
暗い部屋の中、ぎらりと光る2つの翠。
暗闇に慣れた目がぼんやりと顔の輪郭を捉えた。
乾いた唇を舐めるように赤い舌が動く。
喰われる。
そう直感的に感じた私は、こくりっ、と喉を鳴らした。
なぜこうなったか。
そんなのは至極簡単な理由。
専門学校の帰り道、駅まで送ってくれた同級生にキスされたから。
それも今日はリエーフと待ち合わせをしていたためタイミング悪く見られてしまったのだ。
「この人、俺のなんで。手ぇ出さないでください。」
同級生に向けられるきつい目線。
明らかに怒りを含んだ口調。
相手が戸惑いの顔を見せたとき、ぐいと腕を引かれ自宅へ直行。
電気をつける間も無くベッドへ押し倒されたのだった。