第11章 デート編 十四松の夏
主人公視点
暑い暑い夏の河川敷。
ジリジリと照りつける真昼の太陽。
青空に浮かぶは入道雲。
「雲すごいねー」
「わたあめみたーい」
「あははっ、確かに!」
空を見上げるのは、野球のユニフォーム姿の十四松くんと、Tシャツにショートパンツで薄着全開なわたし。
木陰のベンチに腰掛けながら、わたしの手作り弁当を二人で頬張る。
前回の活躍が評価され、わたしの高校時代の同級生池面田くんが、十四松くんをまた助っ人として草野球の練習試合に呼んではくれたものの…。
「十四松くん、捕球したら敵と並走しないで、塁を踏まれる前にタッチしないとダメなんだよ?」
「あっははー、走るのどっちが速いか気になっちゃった!」
おにぎりのごはん粒を顔中…だけでなく、何故か野球帽やバットの先に付けながら、十四松くんはニカッと笑っている。
十四松くんの守備が原因で逆転負けしてしまい、池面田くんはカンカンだった。
この間と同じ、金髪碧眼で8頭身の十四松くんじゃないと、今後一切呼ばないとまで言われる始末。
きっと、試合が嬉しすぎてはしゃいじゃったんだよね。
十四松くんだからね、仕方ないよ。
喜びに一直線で突き進む素直な子だもん。