第9章 デート編 チョロ松と愛しのプレデター
最近思い知らされた。
僕はとてつもなく不器用な男だって。
アイドルの追っかけと、一人の女の子と交際するのは、全然違う世界だった。
主ちゃんに告白した時、親衛隊長になるなんて言っちゃったけれど、付き合うとなると追っかけるだけじゃダメなんだ。
好きなだけじゃダメなんだ。
喜ばせてあげたいんだ。
僕と過ごす時間を楽しんで欲しいんだ。
…やっと出来た念願の彼女兼僕だけのアイドル主ちゃんと、もっともっと絆を深めたいんだ。
だけど、頑張って「いい彼氏」を取り繕っても、ロクに女子と話せなかった僕だ。
二ヶ月経った今でも緊張するし、どもるし、手を繋げばメチャメチャ発汗するし、僕が描く理想のチョロ松像とは大分かけ離れてしまっていた。
そして、不器用が顕著に現れるのは……○ックスの時だ。
○ックスのハウツー本読みまくって研究したけれど、初めての夜なんて主ちゃんを泣かせるわ中断するわで散々な結果だった…。
だけど、こんなダメダメな僕なのに、主ちゃんときたら責めるどころか嬉し涙を流してくれた。
ありがとうって。
幸せだって。
そう言ってくれたんだ。
だから僕はここに来た。
僕一人ではなく、二人で気持ちよくなるために。
ありがとうをちゃんと返したいんだ。
言葉だけじゃなく、僕がしてあげられる事全てで君を喜ばせてあげたいんだよ。
(待っててね、主ちゃん)
…なんて考えながら、アダルトグッズに鼻息を荒らげ店内を物色した。