第58章 過去の時間(殺せんせーversion)
彼は「死」だけを信じて育った
劣悪な環境のスラムに生まれ
信用できる者は誰もいない
親は子を売り
友も女も平気で裏切る
「正義」とは汚職者達がかざすモノ
「薬」とは廃人を作るためのモノ
そして「人間」とは・・・ゴミのように死ぬために生まれたモノ
何も信じず育った彼が唯一・・・
子供の頃から信頼できた真実は「殺せば人は死ぬ」
だから彼は、殺し屋になる道を選んだ
それは彼の天職だった
力が強い者は知識で殺す
頭が良い者は力と技で殺す
両方とも強い者は人間的魅力で籠絡する
彼を上回る才能が無くては彼から逃れる事はできない
結果
彼は無敵だった
どんな難しい依頼も引き受けた
絶対不可能と思えるような厳重な警備をかいくぐって・・・
超大国の大統領を「自然死」させた
幹部将校を2ダース殺して・・・
十年続いた内戦をたった1週間で終結させた
数えて千人を殺す頃には・・・
「死神」が彼を飾る通り名になっていた