第4章 安全確保
ここで漸く中也が口を挟む。
「……おい。餓鬼共を何処に消した?」
「ん?警察署だけど?此処から歩いて行くまでに殺されるかもしれないでしょ?」
「アイツを庇うつもりは無ェが、太宰は取引に関しちゃ嘘はつかねーよ。」
「知ってるよ。現に、嘘はついていなかったもの。」
「じゃあ何故だ?」
「跡を追われてたから。」
「!?」
アリスの言葉に反応する中也。
追跡された覚えは、ない。
バックミラーを見るも、それらしい車は見当たらない。
「『今の』ポートマフィアは敵が混ざってるからね。信用は出来ないよ。元より、する心算もないけど。」
「………。」
この少女が言うことは正しい。
故に反論出来ない中也。
「あの餓鬼達を消したのは、俺達の前から消えた時の異能力か。」
「そうだよー。」
あっさりと認めるアリス。
その顔は、この間のように眠そうだ。
欠伸をしながら中也と話している。
「あの子達の記憶が本当に消えてるかどうかは太宰のお兄ちゃんが盗聴してるだろうし、帰ろう?」
「………。」
太宰のことだ。
恐らくその通りであろう。
然し、こんな餓鬼に見破られるとは。
何者だ?コイツ。
―――
すぅすぅ。
規則正しい寝息を発てながら目の前で眠っている少女を太宰は凝視している。
アリスは太宰の元に戻った途端、電池が切れたように眠ってしまったのだ。
幾ら異能力者でマフィアに歯向かう力があろうと、所詮子供。
疲れが出たのだろう。
そう思うと、太宰はアリスを自分のベッドにを運んだ。
その様子を少し驚きながらも黙って見ていた中也は「寝る間を惜しんで捜してただけあるな。」と呟いて部屋を立ち去る。
凝視している理由は只1つ。
心配だからだ。
あれから丸2日。
アリスは起きる気配を全くみせないのだったー――。