第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
数十分後ーーー
「ーーー説明は以上だけど何か質問はあるかい?」
太宰の言葉に鏡花はフルフルと首を横に振った。
が。
「あの、太宰さん」
敦は片手に紙を。
もう片手を小さくあげて口を開いた。
その目は手にある紙でも太宰でもなく、隣に向けられている。
「何かな?敦君」
云いたいことなどお見通しのくせにニコッと笑って敦の質問を受け付ける太宰にアリスは小さく息を吐いて中也と通信を行っている。
「何で芥川なんかと…?」
「……。」
コホッと小さく咳をするが、芥川は何も云わない。
「先刻も話したけど『黒真珠』は特殊な爆弾だ。軍警の爆弾処理班を待っている時間が有るとは思えないからね」
「いや、でも何で芥川が…!」
「忘れたのか人虎」
「……?」
本日初めてとなる会話が生まれ、芥川に注目する敦。
「僕の黒獣は悪食ーーー」
「あ…!」
解除などせずとも「喰らう」事で爆弾を処理することが出来る。
その事実は行動を共にすることを受け入れなければならない内容に充分値する、のだが。
矢張り、厭なものは厭なのだろう。「でも」等と口に出している敦に太宰は苦笑した。
「解除の方法は、勿論ある」
「だったら…!」
「でも、初見の君達が完璧に行えるとは思えないよ。現に、ほら」
「「「?」」」
太宰は少し離れた位置に居るアリスに視線を移す。
敦達と合流して早10分。
その間、アリスはずっと一人で喋っていた。
「次はC6コードだよ。うん?あ、それは大丈夫。其方は最近搭載されたばっかりの予備コード。でも、最初の処理でそれも死んでるからーーそそ。後3手は何時も通りに。その後はコードが増えてるから一旦、止まって」
端末を操作しながら話し続けているアリスから太宰に視線を戻す3人。
「初見じゃないチビッ子マフィアですら苦戦している」
『誰がチビッ子マフィアだ、この野郎!!』
太宰の通信機から大声が漏れる。
勿論、正確に聞き取れたのは敦だけではあったが、通信の相手である「初見でない人物」は侮辱に反応こそすれど「苦戦していること」は否定しなかった。
「芥川君、異論は?」
「ありません。任務を遂行します」
「ーーー敦君」
敦も我が儘を云っている場合ではないと。
気持ちを切り替えるため息を大きく吸って、吐いた。