第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
「アリス。まさかって思うけどココにある本ってさ」
カルマが難しそうな。英語で書かれた分厚い本をパラパラと捲りながら話し掛ける。
何が聞きたいのか分かったのか。
唯一、消え去っていなかったティーセットから軽食を皿に移して食べながらアリスは頷いた。
「そそ。今まで私が読んできた本だよ。此処じゃ狭いから一部しか無いけど」
「「「「!?」」」」
カルマの隣で中村が手に取る。
「うわっ、英語!?」
「あー。その辺も片付けておけば良かったかな」
「コレ、何て内容なの?」
「戦争戦略論だよ。昔、治兄が教え込まれたって云ったから興味本意で読んではみたけど難しい……あまりお薦めはしないよ」
英語が得意のはずの中村だが、ススッと本を棚に戻す。
「あ、コレ。この間先生に借りた参考書と同じだ!」
「私もコレ持ってる!」
「その辺は、此処に来るにあたって書店で丸暗記してきた参考書の類いだから身近なものかもー」
「「ま…丸暗記!?」」
アリスと本を交互に見ながら驚きを隠せない生徒。
「此方はホコリ被ってる………絵本?」
「………そんなものまであったのか」
アリスは苦笑して、話を続ける。
「此処にある本は、実際の本じゃなくて私の記憶の欠片なんだよ」
「「「……。」」」
「何もないところから知識なんて生えない。だから私も知りたいことは自分で調べて増やしてるってことだよ。まぁ、ちょっと皆と違う力があるからこんな風に形として見せられるけど」
アリスの言葉に寺坂もグッと拳を握る。
「真新しい本から埃被った本まで全部、私の記憶」
アリスは寺坂の方を見る。
いつの間にかティーセットがあった机も椅子も無くなっていた。
「昔のモノもあるけど、見ての通り『無くなった』訳じゃなくて『忘れちゃってる』だけ。本当に必要だと思うから人は記憶する。それを適切なタイミングで思い出せるか否かだけなんだよ、本当は」
「それが頭がいいって事だろうがよ」
寺坂が悪態付く。
アリスは苦笑して、云った。
「私の場合は生死に関わってるからね」
その言葉の重みは
誰も何も云えない程であった。
カッ!
先程と同じ光が全員を包む。
漸く光が収まり目を開ると、そこは何時もの教室だった。