第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
「御足労を掛けて済みません」
「いえ。お気になさらず」
社交辞令の典型的挨拶を手短に済ませ、男がソファを指しながら「どうぞ」と促す。
「失礼」と云いながら眼鏡を掛けた男と、砂色のコートを着た男が着席した。それを確認して、促した男も座る。
簡単に自己紹介を済ませて、話を始める。
「国家の機密事項に掛かるため上から貴方達に依頼するよう指示が出まして」
「我々は探偵ですから。依頼のことは必ず守秘しますよ」
出されたお茶を飲みながら砂色のコートを着た男……太宰が笑顔で答えた。
「それに何れにせよ協力しなければならない様ですしね」
「そうですね」
コトッと音を立てながら湯のみを置く太宰。
そして、
「「で?」」
そう云って太宰と、眼鏡を掛けた男こと国木田が迎えてくれた男……烏間の横に座る謎の人物?に注目した。
「ヌルフフフ……」
一緒にお茶を飲みながら笑っているソレのせいで烏間の米神に怒りマークが浮かんだ。
「コレが百億円の賞金首だ」
「……。」
「へぇー」
国木田は固まった。しかし、太宰は嬉々とした表情を浮かべてコレ呼ばわりされた者を見ている。
「世の中、私達が知らないものが沢山あるねー国木田君……ってあれ?国木田君?おーい」
「はっ……!すまん。続けてくれ」
烏間は少し長い溜め息を吐いて、話始めた。
―――
「では其方の……政府から捕獲依頼がきている『ハイエナ』は既にコレを狙っている可能性がある、と」
烏間が殺せんせーを指差しながら国木田に云う。
「わが社随一の探偵が推理した結果です。間違いありません」
「……。」
国木田の断言に、烏間が黙った。
『ハイエナ』―――
悪い噂しかきかない殺し屋で、他人の殺し屋が獲物を仕留めきる寸前に横取りをすることで有名なのだ。
目的の為ならば無関係の人間の犠牲を厭わない程に悪質極まりなく、犯行の手口から複数人いる可能性も示唆されているが、結局のところ全く正確な情報を得られない殺し屋なのである。
「殺し屋の斡旋業者が云っていた………『死神』とは別の意味で『ハイエナ』には気を付けろ、と」
「理由は?」
「今、貴方達が協力要請の理由を述べたのと同じことを言っていました。」
「それでは――」
国木田がそう云うと烏間は頷いた。