第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「今日は許すとしましょ」
「ん……有難う」
アリスがピトッと引っ付くと、直ぐに満足そうに笑って抱き直す。
2人の時は「兄」を付けないで
太宰とアリスの最近から始めた約束事だ。
太宰は知っているのだ。
アリスが年相応に見えないことを気にしてることも。
自分と並んで歩いても殆どの人に『恋人』だと認識してもらえないこと…。それ故に太宰に申し訳無いと思い、恋人と教えたがらないことも。
見た目等、関係ないと云ったところでアリスが納得しないことも想像がつく。
だからせめて2人きりの時だけでも名前で呼ぶように云ったのだが。
中々、クセと云うのは直らないモノだ。
こうやって意地悪して覚え込ませている。
……頬をつねるなんて温い意地悪は初めてだけどね。
大抵はその場で襲い掛かるが、今日は流石にしなかった。
既にアリスは限界だろう。
元より今日は調子が良くない日なのだ。
長いこと離れた寂しさの反動で何時も以上に甘えている。
無理を強いて嫌われる気など勿論、太宰には無い。
「ケーキ食べたい」
「そうだね。そろそろ上がろうか」
「その前にご飯にする?お腹空いてない?」
「空いてる」
タオルで身体を拭きながら答える。
「何か食べたいのある?」
「うーん……そうだなぁ……」
服を着終わるのを見計らって、抱き締める。
「卵焼き」
「え?卵焼き?」
思いもよらない答えに首を傾げるアリス。
「うん。卵焼き食べたい」
太宰は苦笑しながら、云った―――。