第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「ふん。貴様の意志などどうでも云い。あの夜兎のガキと一緒にいた男と同じ様に使うだけだ」
ピクッ
「……『使う』?」
アリスの眉が僅かに動く。
「俺達の星では奴隷は洗脳して使うのが主流なんだよ。あの男も儲けたな。中々強い」
「……あっくんを洗脳したの?」
アリスの顔から笑顔が消えた。
「まあな。種族によって洗脳に掛かりにくいのも居るがアイツは正にそれだった。苦労はしたが今のところ上手くいっている。後は解ける前に回数を重ねてより完璧に……」
ゾワッ
「!?」
男が思わず後方に飛ぶ。
突然襲ってきたのは、殺気ではなく……殺意だ。
「ねぇ……あっくんは何処?」
「!」
出所の少女は口元に笑みを浮かべているものの……
こんなガキが俺を怯ませるほどの殺気を放っているだと!?
目は一切笑っていない。
落ち着け……!
男は、心で自らに落ち着くよう言い聞かせる。
そう。
どんな殺意を飛ばそうとも少女は今、囚われの身だ。
間違いなく、優勢なのは自分なのだ。
忙しく鳴った鼓動が何時ものリズムに戻る。
落ち着いたのを自覚すると、今度は余裕を見せる番だ。
あくまで、この流れを掴んでいるのは自分なのだから―――
「先に行った3人と無事に会えたところだろう」
グオオオオォォォオオ!!
「!」
男が告げたと同時に聴こえたのは咆哮。
「驚いたぜ。まさかあんな大きい獣に為るとはな……洗脳が効かないわけだ」
「効かないって……じゃあ貴方達の云うことも利かなかったわけ?」
「……完全にはな。だがあの破壊力は素晴らしい。あと数回、洗脳を重ねれば……」
「ってことはあっくんは今、錯乱状態ってことか………ってもしかしなくても今、総くん達が闘ってるのは……」
アリスがハッとする。
その顔を満足そうに笑って見る男。
「正解だ。まさか仲間に殺される運命なんて……ん?」
アリスは男に背を向けて、柵に手を掛ける。
次の瞬間には
「何ぃ!?」
柵の外に出ていた。
「急がなきゃ」
男のことなど眼中に無いのか。
アリスは3人が行った方向に走り出した。
が。男も逃がすわけがない。
柵を素早く引っ込めるとアリスの頭上を飛び越え、前に立ちはだかった。