第17章 人形の館
―――
ピッと電話を切るアリス。
「誰と電話してたのかなー?」
「うわぁ!」
真後ろに何時の間にか立っていた太宰に驚く。
「そんなに驚くってことはやましい相手だったな……中也か」
「ちっ……違うってば!」
鋭い!
強ち間違いではないが、手をバタバタさせて否定する。
「じゃあ誰?」
「うー……」
鋭い目を向ける太宰の顔を真面に見れずに俯くアリス。
「お家に帰ってからじゃ駄目?」
「ふむ。まあ善いけど」
太宰が許すと懐に飛び込む。
「有難うー治兄」
「ふふっどういたしまして」
そう云うとアリスをヒョイッと抱き抱える。
「じゃあ後の事は国木田君に任せて私達は帰るとしよう」
「はぁい」
「おい!ちょっと待て!」
「「ん?」」
国木田に制止され、振り返る。
事は終末を迎え、もう間も無く市警も到着する頃だ。
犯人達も凄く大人しい。
「俺一人だと大変だろう!?」
「もう何も無いでしょ。ねえアリス?」
「うん。あ、真逆国兄この人形のパーツが怖いとか」
「そんな訳あるか!」
全力でアリスの言葉を否定する。
「だったらもう何も無いじゃん」
「私達は不必要だしね?」
「ぐっ……!」
そう云うと二人は部屋の出入り口へ歩いていった。
「「ばいばい。怖がりの国木田君(国兄)」」
「誰が怖がりか!とっとと帰れ!!!!」
国木田の怒鳴り声が部屋中に響き渡った――。