第16章 休息
半泣きで中也の方を見るアリス。
「中也兄ー……助けてっ!」
「何時も云ってんだろ。手前ェ等の痴話喧嘩に俺を巻き込むんじゃねーよ。」
「いや!治兄の場合、このままじゃ本当に容赦ないんだよ!?」
「あー。まあ想像できるな。」
「そこまで判ってるなら!」
「………知らねぇぞ?」
「何が!?」
本当に恐怖しているのか。
大事なことをまた忘れてるな……コイツ。
「俺なんかに助けを求めてっと……」
ピロンッ
「!」
中也の言葉を遮るようにアリスの携帯電話がメールの着信を告げる。
そのメールを見て顔を青くするアリス。
その顔を見て内容など判らずとも送り主が誰かハッキリと理解する中也。
「……ほらな。」
「うぅ……。」
画面に書かれていたのはたった一文。
その一文でアリスは己の身に起こるであろう未来を想像する。
『他の男に助けを求めるなんて覚悟はできているのだろうね?』
「完全に怒ってる……。」
ガックリとしているアリスの頭を撫でてやる。
そして、
「今日は1日、長くなりそうだな。」
半ば呆れ気味に中也は云った。