第1章 情報屋
「……何だよ。急に黙りこんで。」
「いや。結局、何も解らないまま逃げられてしまったからね。情報屋にも裏切り者にも。」
「取り敢えず、裏切り者だろ?」
「そうだね。」
そう言うと立ち上がる。
「じゃあ、中也。報告書宜しくね。」
手をヒラヒラさせながら、そう言い残して部屋から出る。
「はぁ?!一寸待て!!覚えてないって言ってるだろ、この糞太宰!!!おい!」
パタンと扉がしまった後もギャーギャーと中也が叫ぶ声が聞こえる。
が、そんなことは気にもしない太宰。
「アリス・・・ね。」
フッと笑い、扉に寄り掛かる。
久しぶりに獲物を見付けた狩人の様な目をして太宰は呟いた。
「手に入れる、絶対に。」