第2章 あんまさわんな
「襲われたくねーなら不用意に触んな。お前はどうか知らねーけど溜まってんだよ、こっちは」
そう明け透けに言えば、照れ屋なこいつは顔を真っ赤にして「隼くん馬鹿じゃないの!?」とでも怒鳴って離れると思った。機嫌を損ねるのは好ましくないが、理性を失ってこいつを襲ってしまうよりはよっぽどマシだと、そう思って。
だというのに、はことごとく俺の予想を裏切る。
「わ…わたしだって、えっちしたいとか、思ったりするよ…」
ガン、と頭を殴られたような衝撃に襲われた。顔を真っ赤にして、声を震わせて、羞恥からか瞳を潤ませるの姿は、くすぶる俺の欲を煽るには十分で。
「久しぶりにお家に呼んでくれて、二人きりっていうから期待してたのに、蓋を開けてみれば課題の片付けで、し、下着だって可愛いの選んできたのに、私だけ欲求不満みたいで、隼くんが、っ」
そこから先はもう言わせなかった。涙目でつらつら不満を言うの口を塞ぎながらフローリングに押し倒す。頭だけは打たないようにとかろうじて気を回したが、今日はあまり優しくしてやれそうにない。
「わり、あんま手加減できねえと思うけど」
いいか、と問う前に白い腕が俺を引き寄せキスをする。からしてくる事はほとんどない。目を瞠る俺に、息を乱しながらもはうっすら微笑んだ。
「いいよ。隼くんの、好きにして」
「……ッ」
ああ、もう、こいつ、本当に。
「…あとで後悔すんなよ…っ!」
「しないよ。私だって、したかったから」
あっさりと微笑まれ、やけくそになっての唇に噛み付く。そんな俺さえも見透かしたようにが髪を撫でるから、内心で白旗を振らざるを得ない。結局のところ、俺はこいつに勝てないのだ。