第6章 田中恵土:パスト(past)
何度も何度も自殺しようとした。
それでも…
その自分を、求めてくれる人たちが現れた。
捨てていいはずがないって、想った。
『そんなになるまで思い詰めさせてごめん』
そう言葉で言われても
どれだけ、言いつくろわれても
過ごした時は、決して返ってこない。
なんの、救いにもならない。
3年に渡って、自分を殺し続けてきた。
それが終わったと同時に、裁判もまた終わったそうだ。
勝ったらしいが、そんなことはどうでもよかった。
勝った所で、過ごした時は返ってこない。
笑ってたはずの未来があったかもしれない。
それがなくなり
何年も続いたことだけは、決して変わらないから。
その心の傷も、決して消えない。
深い…
とても深い問題らしい。
よく自殺しなかったと偉い人に褒められたが
何一つ嬉しくなかったことを、今でも覚えている。
救けて欲しい時に、救けてもらえない。
ヴィランのように、悪いことをしていても
いじめた人たちは、何もとがめられることはない。
裁判にならなければ、目を向けられない。
救けてと叫んでも泣いても
誰も、目を向けてくれなかったのに…
自分などは、ちっぽけな存在だと思った。
消えてなくなっても、誰も何とも思わないとも…
でも、イレイザーも…
他の人たちも違っていたのが、視えて取れた。
視えたんだ。
大事だって。
そう思ってくれてるって…
イレイザーの言葉もあって
言葉に出すようにした。
久しぶりに、口を開いた気がした。
その時の顔は、今も忘れられない。
誰もかれもが、嬉しそうに応えてくれた。
嫌いだったはずの人波が、温かく思えた。
恵土「っ;」ひっく
気付けば、肩を震わせながら泣いていた。
閉め切っていたはずの扉が
少しずつ…
少しずつ開いて行って
相澤「全力でぶつかって来い。
逃げやしねえから(にや」
その言葉に、想いに
気付けば、救われていた。
温かな光の中、やっとぶつけられるようになっていった。
笑って、戦うことができるようになった。
現在から、6年とちょっと前…
私は、閉じこもってた部屋から飛び出した。