第6章 田中恵土:パスト(past)
降ってくるのは、奇異に向ける眼。
その後ろには、黒く禍々しい何か…
好きに言い、広め合い
伝染されていくそれは……
敵(ヴィラン)よりも、何よりも…
恐ろしく視えるものだった。
そんな悪夢にうなされ続けていた。
学校そのものが、信頼できなくなっていた。
先生や生徒に救けを求めても、誰も救けてなどはくれない。
誰も、それを見ていながら見てないように振る舞う。
誰も、救けようともしない。
自分を視れば、殺そうとするのが普通。
傷付けようとするのが普通。
その内、勝手に治る個性までばれる結果となった。
そうして、長年に渡ってつけられたその習慣が
ない方がおかしいと
自分でも、自分を殺す行為を止められなくなっていた。
終いには、今までに溜め込んできた怒りや恨み…
ぶつけ所がないまま、気が付けば校舎を消そうとしていた。
そして我に返ったのは数瞬後で
一瞬で全て、校舎を直した。
それでも、プロヒーローたちは
その事象に、僅かな違和感を感じたらしく…
それから、やっと救けられた。
自殺し続けようとする中
気が触れたのかと思われたりしながら
『自分がいるせいだ、
あるはずだった幸せの邪魔になってるんだ』と叫びながら
現在から言う所、つい6年前まで
何度も自殺しようとした。
半狂乱になりながら、何度も殺そうとした…
『己自身』を
自分さえいなければ、そんなに手をわず割らせることなんてなかった。
自分がいたせいで
その傷付けてきた人達が悪いことをした人となってしまった。
自分さえいなければ、何も…
そんなことにはならなかったはずなのに。
そう考えるようになっては、殺そうとするようになった。
志村さんと出会って…
共に過ごして……
そうして、殺された事件を前にするまでは。
その日は、是が非でも救けに行こうとしていた。
少しでも、力になりたかった。
それでも、奪われる可能性が高いとのことで気絶させられた。
イレイザーに個性を使えなくされ
そこをナイトメア…
もとい、ミッドナイトによって眠らされた。
それからだった…
自分の命を、捨てていいはずがないって思えるようになったのは。