第6章 田中恵土:パスト(past)
恵土「え?;
待って;何が何だか頭が追いつかない;」
相澤「追いつかなくても、ここで過ごしてもらうことになる」
恵土「…学校は?;」
相澤「通わなくていい。
どうしてもというなら
恵土「行く。
約束したし」
相澤「解った」
その時に、やめておけば
あんなことにならなかったかもしれない。
そう思ったのは…
全てが、起こった後だった。
個性については、見せたくなかった。
だから勝手に治る方じゃなく、風だけを見せた。
だが、噂が勝手に独り歩きして
決めつけられて、ひどい目に遭い続ける結果となった。
約1年もの間、悟られないように頑張り続けてきた。
それでも…
つい、うっかり……
その聞こえた声に、反応してしまった。
と、同時に
心の声が聞こえて、視ることができるってばれた。
『無視した』
『わざとだろ』
『お前なんていなければ死なずに済んだんじゃねえの?』
『気色悪い』
『知ってて知らない振りしてるんじゃ?』
『カンニングしてるだろ』
幼稚園において、2年近く味わったこと…
それと、同じような目に遭ってきた。
それでも、幼稚園時代で乗り越えられたのは
かっちゃんやデッ君が、差別しないでいてくれたからだった。
そんな人達がいないまま過ごした1年は
地獄なんて生易しく感じるほどのものだった。
感情は鈍化していき、最終的には…
自分一人が間違っていて
自分は、殺さないといけないものなのだという概念が染みついた。
そこから救い出してくれたのは、二人のプロヒーローだった。
イレイザーヘッドと、プレゼントマイク。
薄々様子がおかしいことに気付いて
盗聴器をいつの間にか付けられてて、確信と同時に乗り込んできたらしい。
傷付けられるのが普通だと感じるようになった。
そう思われないことの方が、異常に見えるようになってしまった。
その結果…
自分を、殺そうとし続けた。
こんな目が無ければ
こんな耳が無ければ…
何度も何度も潰そうとし
『自分なんか消えて無くなれええええええ!!!!!』
半狂乱になりながら
そう叫んでは、自分の胸部を何度も刺した。
何度も何度も自殺しようとした。
そうして…裁判沙汰となった。