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越えてゆく者【ヒロアカ】

第6章 田中恵土:パスト(past)




『護りたい』

その気持ちがヒトを強くすると、お父さんは言った。


今では…

痛いほどに分かるよ。



お父さん……



恵土「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


白い光が、優しく私を纏った。


そして、今度は壊すためじゃない。

消すためでもない。



護り抜くために

白い光を一点に集中させ、一撃を繰り出した!!



空間ごと無効化する個性だというのは、解っていた。

それでも、それごと包み込むように撃った。


何度も、何度も…



だが、発現したばかりだからか

相手が目の前に居たということしか解らない。


だから…

必死に撃った。



効いているかもわからない。

それでも、撃たずにはいられなかった。


私一人の命は

自分一人だけの命じゃないから。



そんな中、白い光は消えないまま

力だけが消えていった。


それでも止められない。



想いが強過ぎて、止めることができない。

白く強過ぎる光で相手が見えないまま、何度も発動しようとした。



そんな中、異変は急に起こった。




誰かに、優しく…

強く、抱き締められた。




恵土「!?」

相澤「……」


それに驚く中

いつか、会ったことがあるような気がして


攻撃しようとしたのをやめた。



恵土「?

誰?さっきの人じゃない」

相澤「…プロヒーローの、イレイザーヘッドだ。


悪かった。

来るのが遅くなって」


恵土「!」

相澤「…よく、戦った。

よく、護ったな」


その言葉を聴く中…

それをちゃんと見てくれていたことが、ただただ嬉しかった。


それと同時に、哀しみもまた込み上げてきて

いっぱいになって…


恵土「うっ;

うああああああああああああっ!!;」


安心したように、涙が次々に溢れ出てきた。



その叫び声を耳元で聴きながら


イレイザーヘッド、もとい相澤消太は

私を抱き締め、頭を撫で続けてくれた。


その目に、かすかに涙が浮かんでいたことは

私だけが知っている。



お父さんから聴いた、一番弟子の話で出てきたから解ってた。


きっと、イレイザーも辛いんだろうなって…

それでも、大人だから泣くにも泣けなくて……



そう考えたら…

涙も泣き叫ぶ声も、余計に止められなかった。


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