第6章 田中恵土:パスト(past)
全てを社会のせいにしていいはずがない。
そんな社会で出会えたからこそ
私は、かっちゃんに…デッ君に……
何より、家族に出会えた。
だからこそ…
救われたのだから
(昨日…
満面の笑みで、共に過ごす光景が浮かんだ)
私は、ここで教わった。
正義とは何か…悪とは何か……
誰もがヴィランになり得て
誰もがヒーローにもなりうる。
そんな社会の中で
誰もが望んだ時に助けてくれるわけじゃないと知った。
だからこそ、私は思ったんだ。
ヒーローになって、変えたいって!!!
「ガキだな、やっぱり。
そうでも思っていないと、やっていられないことが世の中にはある」
解ってるよ…
その気持ちは、痛いほどに!!
確かに…
あの当時は、そう思ってたよ。
壊したかった、やってられなかった。
そんな目に遭いに行くために、幼稚園に行くとは思ってもいなかったから
余計に、憎むべき対象が解らなくなっていた。
社会そのものを、憎みかけていた。
幼稚園も、憎みかかってた。
でも…違った。
かっちゃんがいたから
デッ君がいたから…
差別されてても、迫害を受けてても
何だって楽しいって思えたんだ!!!!
恵土「そんなのたくさん見てきたよ!!
腐るほど見てきたよ!
それでも…
それでもっ!
大切にしてくれる誰かがいてくれたから、私は幸せだったんだ!!
お父さんもお母さんも!
お爺ちゃんも、お婆ちゃんもっ!
かっちゃんも!
かっちゃんママも、かっちゃんパパも!
デッ君も、デッ君ママもっ…!(涙目&震」
次々に湧き出てくる想いに
私は、震えが止められなかった。
大事なんだ。
ただただ、大事なんだ!!
ひどい目に遭っても
何をされても、それごと大事だったんだ!!
全部ひっくるめて…
幸せだって、私は思ったから!!!
だから、私は…
決めたんだ。
戦うって…
それごと全部、護り抜くって!!
憎くても、恨めしくても
それごと、ちゃんと向き合う…
もう、逃げない!!!