第6章 田中恵土:パスト(past)
目を覚ました時…
父母は、一番近くに居た。
恵土「ぱち)…ん。
重いよ、お父さん、お母さん…」
そう呟いてもなお、返事は返ってこなかった。
感じた温もりは、確かにそれだった。
私を護ろうと、覆い被さったままなのは
言うまでもなかった。
それでも、目を向けると…
恵土「!!…あっ」
それらは
死骸となって、血を流しながら…
それでもなお
全く動きもせず、ぐったりと横たわったまま。
だが、やっぱり
ヴィランによって張られた結界は、そのままで…
すぐ起き上がって、周囲を見渡すと……
視えたのは…
血
真っ赤な血が、あたりにたくさんあった。
恵土「っ…ぁっ(がたがた」
それらがすべて、祖父母と父母のものだと
霊感があったからこそ、余計に感じ取れた。
建物は崩れ、散乱した中で
父母は私に覆いかぶさり、祖父母は倒しにかかり……
私が気絶させられていた場所から、ほど遠くなく
すぐ近くに祖父母の死骸を確認するや否や…
ぶちっ!!
恵土「…」
何かが、切れた音が響いた。
恵土「うっ…
うあああああああああああああああああああっ!!!!!!!・・」
目を見開いて、ちょうど祖父母を殺した後なのか
その死骸を掴んで、立っていたヴィランに叫びながら
力が解放されていくのを、確かに感じた。
それは、黒い稲光となって…
恵土「殺、してやる!!(黒&睨)
よくも!!!
…よくも、みんなを!!!!」
そう叫びながら、力を完全に解放させ
そのヴィランを、空間ごと全て消し去ろうとした。
そうすれば、世界が壊れることは目に視えていた。
だから、そのために使うなと
幼い頃から言われてきていた。
それでも、そんなことはどうでもよかった。
そう感じるほどに…
大切なものだったから
恵土「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
目を見開き、全身から溢れ出る力によって
凄まじい風が全身からほとばしり、炎が周囲に広がり
結界は、いとも簡単に消え去った。
だが…
死骸であっても
ヴィランに渡したくはなくて、決して離すまいとしていた。
凄まじい力の奔流の中、私は……