第5章 戦闘訓練開始
『なあ、相澤』
「?」
『…いつか、誰もが
誰かのために、救けに動ける社会になればいいな。
複数人数を纏めて教育する社会じゃない。
一人一人に向き合って、ぶつかって…
認め合って、理解し合って……
そして、誰かのために動ける。
知らない一人のために
すぐ現場に居る人たちが動ければ、救える命も増える。
そんな社会になったら…
俺は、そうも思うんだ。
現場に居ながら、誰も救けてくれなかったからこそな……
きっと…
俺の子も、同じ思いをしている分
余計にそう思って行動に移すだろう。
楽しみだなあ、恵土の将来が!^^』
「いつも言ってますね、それ」
『はっはっはっ^^
子を期待するのが親ってもんだ。
そして…
それを信じて、送り出してやるのもな(微笑』
「……」
そう言いながら
遠くを見つめるあの人の背は、俺が幼い頃に憧れた背だった。
『いつか、子供を作れよ?』
「無理ですね。恋自体したことないんで」
『HAHAHA!^^
そっかそっか(微笑)
…
こんな時に言うのもなんだが…
俺に何かあったら、娘を頼む。
お前だから、頼むんだぞ?』
そう微笑みながら言うあの人に
俺は驚きながら、目を見開いて顔を向けると…
あの人は…
いつものように、満面の笑みを浮かべていた。
まるで、これから起こることを見越しているかのように…
そして今…
あの人の娘は、俺の隣で生きている。
両親を殺されて、怒りに飲み込まれかけた。
怒りのままに、黒い稲光と共に世界ごと消し去りかけた。
全てを消そうとしかけた時、殺された両親たちが叫んできたらしい。
『ヴィランを殺すことが、俺たちのためになると思うな!!!』
『殺しても、生き返る事などできないわ!!』
『戦え!!沸き上がる怒りと、憎しみと!!』
『そんな事をしても、私は嬉しくない!!』
口々に、脳内へ叫ばれた言葉によって…
あの人の妻の能力を持っていたからこそ、聴けた。
正しく、力を使おうとすることができた。
それによって、被害は…
家が燃えて壊れるだけという、最小限に食い止められた。
その話を聴いた時
死んでもなお、娘を救けようとするのは流石だとも思った。