第5章 戦闘訓練開始
『俺の妻は、人の汚い部分が嫌ってほど視えていた。
と同時に
綺麗な部分もまた、僅かながら視えていた。
もっと広く、大きく世界を見渡したいという理由で
プロヒーローになったらしい。
そして、俺たちは
この事務所で出会った。
一緒になって互いの持つそれらを語り合った中
俺の『その考え方』に、光を見出したらしい。
だから今、俺は幸せだと思っている。
家族を亡くしたはずの俺が
妻を持った、娘を持った。
これ以上幸せなことなんてない!!
教え子にも恵まれた!!
一番弟子にも恵まれた!!
最っ高だ!!
…
一度は、社会を憎みそうになった。
それでも、思ったんだ。
世の中、捨てたもんじゃないなってさ。
俺は、妻に
その能力が『個性』だと疑る奴等を蹴散らして
護り抜くことに決めた。
些細な意思を感じ取る、『シンパシー』
それが、俺の妻のヒーロー名だった。
同じく、無個性として通っていたが
戦闘向きじゃなく、サポート向きだったんだな。これが(苦笑)
俺とコンビを組んで、手あたり次第に救いまくってたよ。
あの大災害の時もな^^』
「知ってますって(溜息」
『あ、恵土も同じように感じ取れるんだ。
繊細かつ純粋っていうか
傷付けてきた相手でさえ、大切に想い遣れる人に多いんだと』
その台詞に…
どこか、憧れに似た感情が呼び起こされた。
それと、恵土は似ているんだ。
腕っぷしじゃ
あの人と同様に、既にプロヒーローの中でもトップレベル。
その割に、その力を振るったりしない
その慈愛に満ちた姿に…
事務所の屋上で
星空を見ながら、一緒に語り合った。
これからの未来について……