第5章 戦闘訓練開始
小さな子供が、一生懸命背伸びしながら立とうとしている。
それを俺は、陰から支えた。
強がっちゃいるが
一番辛いのは、あいつの方だと思ったから…
『相澤、今から言う言葉だけは忘れるな。
『この世の中にいる限り
どうあったとしても、理不尽は常に付きまとう。
だが、決して立ち止まるな。
乗り越えていけ』
お前への
唯一残す、『最後の教え』だ』
「縁起でもないんですが…;」
『俺は、生来持ち合わせた『無個性』に負けず
(正確には少し違ったが)
どんな個性であっても
打ち勝って、乗り越えてきた。
それにちなんで、このヒーロー名(エクシード)にした』
「そうですね。前に言ってました」
『そのやり方に関しては、前に説明したように
相手の個性によって生まれた『力』を
受け流すと同時に、その流れを自分の攻撃と同じ向きにし
自分のリミッターを解除させた力を上乗せし
倍以上の力に変えてぶつけるって感じだ』
「散々教えてくれましたね。
受け身から合気道まで
100トンもの力であっても、受け流し方から利用の仕方まで。
本当に重りを使って修業した時は死ぬかと思いましたが?(じとー)
しかも投げてきたし」
『おう!!
俺も、死に物狂いで強くなったからな!(キラン』
「じー)普通なら死んでます」
『まあ、それはそれで置いといてと。
とはいえ、私もそろそろ恵土の教育に専念し…
って、もうとっくに卒業レベルだが;(ずうううん』
相澤「教わった3歳の時に既にできていたと聴きましたが?」
『ああ。
あいつは呑み込みが早い。
運動神経も反射神経もよく
どんな攻撃でも即座に避けながら利用できる。
相手の動きを読むのにかけては特にな。
…まあ、それは置いといて…
さっき言った言葉は、お前だけに言えることじゃない。
これからも降りかかるであろう理不尽…
それ以上に大事なものは、すぐ隣に在る。
隣にいる『人』から、そのさらに大切な人に
それらが次々に繋がっていき、大きな塊…
『社会』となる。
だから…
少なくとも、その手の届く範囲に居る奴等だけは
死んでも、護り抜け(真剣』
その言葉の重みは…
よく解っていた。
そういう意味でも、あの人は強かった。