第5章 戦闘訓練開始
言葉は、聴こえていた。
瓦礫の山をかき分けながら
流石は、あの人の子だとも思った。
言ってることも、やっていることも…
全てが、それに似ていたから。
あの人の言う母親にも、とても似ていたから……
なぜかダブって、仕方がなかった。
今でもそうなんだが、それはどうでもいいことだ。
その当時、引っ越すことは決まっていたらしい。
ヴィランに狙われることが、数度あったからだそうだ。
最後ということで
幼稚園での知り合いやお隣りとは、誕生日の前日にお別れ会をしたらしい。
そして誕生日に
恵土の祖父が、『個性を封印する個性』を恵土に使って
個性による暴走を、左半身だけ押さえてもらっていたらしい。
全部押さえてしまえば奪えないとのことから
ヴィランが焦って強襲してきたらしいが、当時の本人に知る由はない。
『赤い夜』と
親戚と両親が殺された事件は、そう呼ばれた。
だが、ヴィランの目的が彼女であることが漏えいしたらしく…
引っ越した先の小学校では
『死んだのってあの人のせいでしょ?』
『じゃあ人殺しじゃない』
『人殺し』
『何で人の皮被って歩いてんの?バケモノ』
『関わらない方がいいよ』
『あっち行けよ』
『仲がいいって思われたから困るもんな』
『私たち、友達だよね♪(利用するだけだけど』
『あんたが死ねば狙われる可能性は0になるのに』
散々言われる中
ものを壊されたり、机をひっくり返されたり
陰口をたたかれ、差別され続け、孤立を続けられる中
『やっぱり巻き込まれるのはやだから友達やめるね~』
『信じちゃって。バッカじゃないの?』
『あんたと友達になる人なんているわけないじゃん』
『無視ばっかでしょ?』
『最初から居なかったらよかったのに』
味方は、誰一人としていなかった。
どこが悪かったのか教えてくれる人さえ、いなかった。
先生でさえも、言った所で護ってくれなかった。
誰も護ってくれない。
自分を守ってくれるのは、自分だけ。
一時期、怒りと共に校舎を消した。
が、一瞬で再び元に戻したため
大事には至らず、事なきを得ることとなった。