第5章 戦闘訓練開始
涙を流す中、震える中…
それでも、決断した。
そうして恵土は、拳を握り締めた。
恵土「私は…
ヒーローだから、戦うんじゃない。
お前を倒したいから、倒すんじゃない。
お父さんとお母さんが、殺すなって言ってる!
殺されたみんなが、だからって同じになるなって言ってる!!
だから決めた!!
私は…
お前を捕まえて、罪を償わせる!!
そして…
お前が笑ってられる未来を取り戻す!!!(涙」
両拳を握り締めて、構える中
涙が、次々に零れ落ちていった…
どこまでも慈愛に満ちた心は、意思を宿した個性を突き動かす。
代々と受け継がれる中で、唯一現れた個性…
後に、『Kaleidoscopic Energy Integrate Trance Operation』と呼ばれる個性には
意思が宿っていた。
といっても
それは、この事件によってわかることとなった。
と、同時に
それは白い光と共に、恵土の力となって身を纏っていた。
そして、一撃を繰り出そうとした時…
空間ごと無効化する個性を使用し、逃げたらしい。
だが、発現したばかりの恵土には解らず
俺に向けて使おうとしたらしいが、抹消によって無効化した。
そして、それでも
白く強過ぎる光で相手が見えないのか、相手を間違えたまま
何度も発動しようとする恵土を見て
俺は、それを抱き締めた。
恵土「!?」
相澤「……」
恵土「?
誰?さっきの人じゃない」
相澤「…プロヒーローの、イレイザーヘッドだ。
悪かった。
来るのが遅くなって」
恵土「!」
相澤「…よく、戦った。
よく、護ったな」
その言葉を聴いた恵土は…
恵土「うっ;
うああああああああああああっ!!;」
安心したように、泣きじゃくり出した。
至極当然の反応だ。
本来なら、怒って暴れて泣きじゃくり出す。
感情のままにさらけ出して、ぶつけるはずだ。
といっても、その前まで…
両親や祖父母を殺され、恵土は怒りのままに暴走していたらしいが。
それでも、戦おうとした。
それこそ、歳不相応なぐらい必死に…
その見込みは、十二分過ぎるぐらいにあるように感じた。