第5章 戦闘訓練開始
いつも通りの日常…
いつも通りの日々……
それが、いとも簡単に壊れることを
一番近くで、知っていたはずだったのに。
当時の俺は、まだまだで
壊れるはずがないと疑わず、気付かなかった。
まあ、オールマイトだかで騒ぎになってたからな。
俺よりも先にデビューしたらしいが、師匠の方が上だ。
大災害から一人で
個性を使えないまま、500人救けた英雄と
個性を使って、1000人以上を救けた英雄…
俺の場合、個性がないからこそ
それでもなお、必死にそれを磨き上げ
一部の無駄もなく
全てを生かし切れるように尽力する姿に憧れた。
その上で、無敗だった。
どんなヴィランにも、負けたこともなく
どんなヒーローであっても、対戦して負けたこともなかった。
すぐに打開策を生み出し
誰にも思いつかない奇策で、迎え撃っていた。
全戦全勝無敗無引き分け。
あの人の実績が、人柄を凌駕しているようにも思っていた。
が、実際の所…
その人柄に救われていた自分もいた。
短所も長所に変え、見下したりせず
隣に立って、一緒に越えていこうと
一緒になって悩んだり、考えたり、ぶつけ合ったり…
それまでの日々が、俺を成長させてくれたし
ここまでにしてくれた。
メディア嫌いな所まで同じだったから、余計に
気も合えばうまも合った。
ただ
妻と娘の溺愛っぷりだけは、最後まで合わなかったが。
恵土の6歳の誕生日…
いつまで経っても連絡が来ないことを疑問に感じた俺が見たのは
真っ赤に燃える家だった。
そして、その中には…
一人の人間と……
炎の中で、血にまみれながら
それでもなお、立ち向かおうとする姿があった。
『一緒に越えていこうぜ、どこまでも』
そう、人差し指を上へ向けながら手招きしていた。
『上へ、上へ!
下を見てたら、引きずられるぞ!!^^』
何度も何度も、ぶつかってきてくれた。
『俺の娘が可愛くてなあ//(にやにや』肩を組む
「気持ちは解りますがやめて下さい(溜息」
何度も何度も…
何度でも、ぶつかり合った日々があった。
その足元にあった
あの人の死骸が、俺の目に入った。