第29章 林間合宿
恵土「ぐぬっ。
ふんっ!!」
ばちぃ!!
空間ごと、押さえ込んでいる首を
手にかけている右手に、真下から拳で攻撃して無理やり外した。
恵土「げほっ。
はあっ…はあっ。
なんの、つもりだ」
空無「なに?
…勝負付けに来たに、決まってんだろ」
恵土「だよなあ(にっ」
そう言いながら、左拳を握って構えた。
そうして、戦いは始まった。
楽しみにしていた肝試しは中断。
戦いへと、身を乗り出す。
だっ!!
がきぃん!!
拳と拳がぶつかり合う中…
時を同じくして、相澤に一本の電話が入っていた……
念のための定期報告らしい。
そんな時…
空無が、突如として語り出した。
空無「お前しか、いない」
恵土「はい?;」
その言葉に、俯きながら涙する姿に
私の動きは固まり、攻撃しようとする拳を止めた。
空無「俺は…両親をヒーローに殺された!!」
恵土「!!」
続く言葉に
私は驚くしか出来ず、息を飲んだ。
空無「殺した直後
ヒーローが、なんて言ってきたか知ってるか?
自身へ笑いかけながら「大丈夫か?」と聞かれた!!
その後、ヴィランの個性『催眠』によるものだと解った。
だが、周囲から掛けられた言葉はそんなものじゃなかった!!
「ヴィランになりそうだったから殺されたんじゃない?」
「ヴィランの子ー!!」
俺に、そう口々に言うだけじゃなく
祖父母にまで…!!(右手で両目を覆う)
「ヴィランの親だ!!逃げろー!!」などと、好き勝手に言われ続け
それを苦にした祖父母は自殺!!
親類は誰一人としていなくなり
それでもなお、いじめは悪化の一途をたどった!!」
その目は、憎しみに満ち満ちていた。
例えようのない憎しみ…
辛さ……
そして、それは…
私自身もまた、味わったことのあるものだった。
誰も味方が居ず、好き勝手に
暴言を、悪口を言われ続ける日々も
なぶられ、殺されかける、精神も…