第29章 林間合宿
両親を失ってから…
居場所を失ってから
僕は最初に、「俺」って突っぱねるようになった。
そうじゃなきゃ、やってられなかった。
素直な気持ちを、吐き出すことも出来なかった。
誰も、解ってくれないから
その気持ちを知ることなんて…
それこそ、同じ経験をしてる人にしか解んないから。
そう思った所で
それを頭から否定するばかりで、真面目に聴いてくれない。
受け入れてなんか、くれない。
でも…
僕の心を救い出そうとしてくれた人が現れた。
僕にとっての…
最初の、「ヒーロー」
恵土姉ちゃん。
あの時、声が聞こえた。
『いつでも、待ってるからね^^』
その笑顔に…
なんか恥ずかしくなって、また突っぱねるように小さな声で言った。
また…
今夜、一緒に話そう。
光汰「…^^//」
それを想うと
なぜか笑えてきて、しょうがなかった。
ひみつきちの前で
僕は一人、両膝を抱えながら笑ってた。
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その頃、恵土たちの方は…
出久「えっと…
さっきの、光汰君だよね?」
恵土「ん?うん。
私の影に隠れて食べてたけど、どしたの?」
隣で皿洗いしながら、僕は恵土ちゃんに話しかけた。
出久「…いや。
その…
何て言えば、正解だったのかなって…悩んでて;」
恵土「…正解なんてないよ」
出久「…え?」
恵土「私の場合
同じ境遇者だったから、色々話せたって感じで。
少しぐらいは、心を開いてくれれば嬉しいんだけど…
まだ5歳だし、3歳の時に失ったわけだし……
これは憶測だけど
突っぱねてないと、きっとやってられなかったんだと思う。
その気持ちも解んないくせに、知らないくせに…
知った風な口きくなってさ」
出久「…うん」
恵土「でも、越えていかなきゃいけないんだ。
戦って、越えていかないとさ。
そうじゃなきゃ…
きっと……
誰も、救われないって」
言い聞かせるように呟いた言葉が、僕の胸の中で反芻した。