第29章 林間合宿
マンダレイ『光汰。
あんたのパパとママ…
ウォーターホースはね。
確かに、あんたを遺して逝ってしまった。
でもね
そのおかげで守られた命が、確かにあるんだ。
あんたもいつか、きっと出会う時が来る。
そしたらわかる。
命を賭して、あんたを救う。
あんたにとってのヒーローを』
殺されてから
引き取られてから、そうマンダレイに言われた。
まだ、その言葉の意味は
そんなには解らない。
でも…
この温もりは、嘘じゃない。
繋いだ手からも、優しく撫でる手も
その笑顔からも…
その伝わってくる温かさに
両親のような温かさに、俺は安心した。
そうして修業…
相澤「何をするにも、原点を常に意識しとけ。
向上ってのは、そういうもんだ。
何のために汗かいて
何のためにこうしてグチグチ言われるか。
常に頭に置いておけ」
たくさんグチグチ好きなように言われて、原点だか言われていた。
ちゅー
岩に腰掛けたまま、渡された飲み物を飲みながら
俺はただ、見ていた。
必死に限界を超えようとする姿を…
その意思の、想いの強さって奴を。
それを証明するために、必死なのか…
よくは解らないけれど……
同じ境遇者を増やしたくないって気持ちは、解った気がした。
遠くない未来、その苦しみを少しでも減らそうと
必死になって、ふらふらになってもやめようとしない姿に…
『ヒーロー』という言葉が浮かんだ。
と言っても
俺が恵土姉ちゃんの境遇を知っているからこそだろうけれど…
知ってなかったらきっと…
何か、変わっていたかもしれない。
ふと、そう思った。
で、肉じゃがを作ろうとしていた。
光汰「…」
恵土「?何で陰に隠れてんの?」
光汰「…」つーん
恵土「あ;デッ君がいるからか;)
あはは^^;
できたら、一緒に食べようね^^(なでなで」
光汰「…(こく」
そう頷いてから
恵土姉ちゃんの影に隠れながら、肉じゃがを食べた。