第29章 林間合宿
その二日目の晩は、自分でカレーを作っていた。
おそらく、三日目もまた同様に作るんだろうな
そう思いながら…
修業を続けていた。
光汰「じー)…」
恵土「ん?
ごめん、起こしちゃった?^^;
たはは(苦笑」後ろ頭かく
光汰「恵土姉ちゃんは、どんな修業してるの?」
恵土「…へ?(きょとん」
少しずつ…
本当に少しずつだけど
前に進もうとしているように見えたのは…ここだけの話。
恵土「ん~。
力を使いまくって、へとへとになっても限界突破って感じかな?」
光汰「…見ててもいいか?」
恵土「うん!^^」頷く
光汰「ぱあ)!」
その日、初めて笑顔を正面から見た気がした。
何より…
自分から歩み寄ろうとしてくれたことが、本当に嬉しかった。
恵土「なあ、光汰くん」
光汰「…光汰でいい」
歩き出そうとすると
隣に立って、私の左手をきゅっと握りながら呟かれた。
心を開かれたそれに、私は嬉しく感じた。
恵土「…(微笑)
光汰、確かに理解者はそれほど多くはない。
でも、誰もがそうなんだよ。
誰もが、誰にも理解されない苦しみを各々持ってる。
それでも…
寄り添って、乗り越えようと戦ってる。
その末に、私のように
同じような思いをする人を減らしたくて、ヒーローという道を選んだり
どうしても許せなくて
ヴィランみたいに暴れて、「殺しまわる」って人だっている。
自分で考えて、自分で越えていくしかないんだ。
周りは、その補助ぐらいしか出来ない。
でも…
大事に想う人がいるなら…
それを大事にしないといけないよ?
両親が、そうであったように。ね?^^」
顔を覗き込みながら、そう言って
優しく頭を撫でると
光汰「…(こく」
力なく、頷かれた。
少しずつ…
少しずつ、大人になっていく。
誰もが、越えられない壁に向かい合って
時には挫折して、八つ当たりして…
そうして、私たちは出会った。
そして、互いの存在に救われた。
同じ思いをする人がいる。
同じ経験をした人がいる。
それだけで…
本当に、救われたんだ。