第29章 林間合宿
恵土「…あはは^^;
『何も知らないくせに』…
そう思う気持ちもよくわかる。
でも…
その人は、心配してくれているからこそ話しかけてくれている。
その気持ちも無下に出来なくって
その板挟みになって、私は苦しんでた」
光汰「は?
そんなのいらないだろ」
恵土「…私の場合
話しかけようとする人自体いなかったから^^;
自分から話すまで、待つだけで…」
光汰「…俺はさ、頭いかれてるって思ってた」
恵土「へ?」
光汰「『バカみたいに
ヒーローとかヴィランとか言っちゃって殺し合って
『個性』とか言っちゃって……
ひけらかしてるからそうなるんだ』
ずっと、そう思ってた。
護りたいって思う気持ちも、解ってるつもりだった。
でも…
死んでいっちゃ、ダメだろ。
あいつ、言ってきたんだ。
『そこまで否定しちゃうと、君が辛くなるだけだよ』って…
解った風な口ききやがって。
その気持ちも知らねえくせに!
ずけずけと立ち入ろうとしてきやがって!!
殺されたこともないくせに!
奪われたこともないくせに!!
今まで過ごせていた家でさえも、でてくしかなかったのに!!
何でそんな口きかれなきゃいけねえ!!??
何で…
どうして、そんな風にやってくんだよ!!
そんな風にされるよりかは…
一人でいた方が、よっぽどマシだ!!!」
恵土「…苦しいもんな、そういうの;」
光汰「あ!?(ずびっ」
泣き顔を隠すように、両膝を抱える光汰に
私はそっと、その頭を撫でた。
恵土「…能天気に見えるかもしれない。
でも…
その『苦しい』って感情は
誰もが、知ってるんだよ(ぽろっ)
その深さは、人によって変わってくる。
経験によって、色も変わってくる。
けれど…
大好きだから、自分にできる何かを…
やりたいって思ってしまうんだよ(涙&ぎゅう」
そう、涙ながらに抱き締めると…
光汰「ッ…(ぎり)
余計な、お世話なんだよ……
くそっ…
ちくしょおっ!;」
涙を流しながら、私たちは抱き締め合った。
声を詰まらせながらも、抱き締めてくるそれは…
その狂おしい『苦しみ』にあらがい、戦おうとしているように見えた。